塗料値上げは長期化
2026年時点でも塗料価格の下落局面は来ておらず、原材料費や物流費の高止まりで大幅な値下がりは見込みにくい。
劣化状態が発注基準
値上げ前の前倒し発注は、劣化が進んでいないと塗膜剥離リスクがあり、建物の劣化状態を数値で確認して判断すべきだ。
ウレタン・シンナー高騰
溶剤系ウレタン塗料とシンナー類は、原油高と化学原料供給逼迫で値上げ幅が特に大きく、塗料本体より高価なケースもあった。
はじめに
塗料の値上げは「いつか落ち着く」と待ち続けた結果、修繕費が想定より大幅に膨らんだ——そういう相談が管理組合やオーナーから増えている。結論から言えば、2026年時点でも塗料価格の下落局面は来ていない。原油・ナフサ由来の原材料コスト、物流費、人件費の三重構造が続く限り、大幅な値戻しは期待しにくい状況だ。一方で「だから今すぐ発注すべき」とも言い切れない。建物の劣化状態・資金計画・工事の優先順位によって、判断は変わる。この記事では、塗料値上げの構造的な背景を整理したうえで、発注タイミングの判断に使える視点と、費用を抑えながら建物価値を守る実践的な考え方を示す。
この記事で分かること
- 塗料値上げの構造的な原因と、今後の価格動向の見方
- 品目・用途別の価格推移と、どの塗料が特に高騰しているか
- 値上げ局面での修繕発注タイミングの判断軸と隠れたリスク
- 費用を抑えながら長期コストを下げる塗料選択の考え方
- 5年・10年シミュレーションで管理組合・オーナーが意思決定するための数値の見せ方
塗料値上げの背景——原材料費と国際情勢の連鎖
原油・ナフサの高騰が塗料コストに波及する仕組み
塗料の主成分である合成樹脂(アクリル・ウレタン・シリコン系)と溶剤の多くは、石油精製の過程で得られるナフサを原料とする。ナフサ価格は原油価格に連動するため、原油が上がれば塗料コストは遅れて追いかけるように上昇する。問題は、この「遅れ」が3〜6か月単位で積み重なる点だ。メーカーが価格改定を公表するのは値上げ実施の1〜2か月前が多く、施工会社が見積もりを出した時点と実際の仕入れ時点でコストが変わるケースもある。
原油価格の変動だけを追っていると、「最近は少し落ち着いたのでは」と感じる時期もある。ただし、塗料コストを構成するのは原材料費だけではない。エネルギーコスト(製造ラインの電力・熱源費)、輸送費、容器・包材のコストが加算されるため、原油が一時的に下がっても塗料価格がすぐに下がる構造にはなっていない。価格の粘着性 と呼ばれるこの特性は、値上がり局面では施主にとって最も不利に働く。
中東情勢・ウクライナ戦争による供給逼迫と流通コスト増加
ウクライナ侵攻後の欧州エネルギー市場の混乱は、LNG・石油製品の流通経路を変え、アジア向けの供給コストを押し上げた。中東情勢の緊迫化は原油の先物価格に即座に反応し、国内の塗料メーカーが原料を確保するためのコストを引き上げた。
物流面では、2024年問題(トラックドライバーの時間外労働規制)が輸送コストの上昇に拍車をかけた。塗料は危険物として扱われる品目が多く、専用車両・専用倉庫が必要なため、一般貨物と比較して物流コストの上昇幅が大きい。さらに円安基調が続く中、輸入原料の購入コストは円建てで増加し続けている。これらは個別の要因ではなく、連鎖的に積み重なっている点を理解しておく必要がある。
日本ペイント・関西ペイント等メーカーの値上げ時期と幅
執筆時点で確認できる範囲では、国内大手塗料メーカーは2022年以降、複数回にわたる価格改定を実施してきた。日本ペイント、関西ペイント、エスケー化研などの主要メーカーが相次いで出した価格改定通知は、改定幅が品目によって5〜30%超に及ぶものもあった。特にシンナー・溶剤系製品の改定幅は大きく、一部品目では数倍に達したという業界内の報告もある(各社の公式リリースで最新情報を確認されたい)。
| 改定時期 | 主な対象品目 | 改定幅の目安 |
|---|---|---|
| 2022年前半 | 溶剤系塗料・シンナー全般 | 10〜20%程度 |
| 2022年後半〜2023年 | 水性塗料・防水材を含む全般 | 5〜15%程度 |
| 2024年〜 | 全品目・物流費転嫁を含む | 5〜10%程度 |
※上記は業界動向の概略。各社・品目の正確な改定幅は各メーカーの公式発表を参照のこと。
注目すべきは、各社の改定タイミングが「横並び」になりやすい点だ。一社が価格改定を発表すると、仕入れコストが同様に上昇している他社も追随する傾向がある。施主側から見ると、「別のメーカーの塗料に切り替えれば安くなる」という選択肢が機能しにくい状況になっている。
塗料別・品目別の値上げ推移と今後の見通し
ウレタン塗料・シンナーの価格推移と値上げ率の差
塗料の中でも、溶剤系ウレタン塗料とシンナー類は値上げ幅が突出して大きかった。ウレタン塗料の主原料であるイソシアネート(MDI・TDI)は石油化学製品であり、原油高と化学原料の供給逼迫が直撃した。鉄骨部材の錆止め・防食用途で使われる油性変性エポキシ系塗料も同様の影響を受けている。
シンナーについては、石油系溶剤(トルエン・キシレン等)の価格が急騰したことで、塗料本体よりも値上がり率が高いケースがあった。現場では「塗料より薄め液のほうが高くなった」という声が出るほどの水準に達した時期もある。溶剤系塗料を多用する鉄部塗装(手すり・鉄骨・シャッター等)を多く抱える建物では、この影響が修繕費に直接響く。
水性塗料は溶剤系ほどの急騰ではなかったものの、樹脂原料・顔料・乳化剤のコスト上昇を受けて値上がりした。水性シリコン・水性フッ素系の高耐久塗料は、もともと単価が高い分、改定幅の絶対額も大きくなる。
外壁塗料・屋根塗料など用途別の値上げ時期のずれ
外壁塗料と屋根塗料では、値上げの波が完全に同時には来ていない。外壁用の水性系塗料は2022年に集中して改定が進んだのに対し、屋根用の遮熱塗料・無機系塗料は2023年以降に改定が続いた。防水材(ウレタン防水・アスファルト防水)は石油系原料の比率が高く、2022年から断続的な値上げが続いている。
この「ずれ」は修繕計画において実は使える情報だ。全面改修を一度に行う場合と、優先度の高い箇所から段階的に施工する場合で、どの時点のどの品目を発注するかによってトータルコストが変わる。屋根の防水が急を要する建物であれば、防水材の価格動向を優先して追うべきだし、外壁の塗膜劣化が先行している場合は外壁塗料の市況が判断材料になる。
2026年に向けた塗料メーカーの価格戦略と業界予測
塗料メーカー各社は、原材料コストの変動を価格に転嫁する「コストパス型」の改定から、機能性・付加価値で単価を維持する方向にシフトしつつある。具体的には、高耐久・遮熱・防汚機能を付加した製品ラインを拡充し、単純な「安い塗料」との差別化を図る戦略が見えてくる。
2026年以降の価格見通しについては、原油市場の不確実性が高いため断言できないが、業界内で共有されている認識は「大幅な値下がりは見込みにくい」というものだ。物流費・人件費は構造的に高止まりしており、円安が続く限り輸入原料の調達コストも下がらない。むしろ、環境規制(VOC規制強化・プラスチック容器規制等)への対応コストが新たに上乗せされる可能性もある。
施主の立場で言えば、「いつか下がるだろう」という期待値で修繕を先送りすることのリスクは、現時点では値上げ継続のリスクより小さいとは言えない。待てば下がるという前提が崩れている 点は、修繕計画の見直しにあたって最初に認識すべき変化だ。
修繕計画の発注判断——値上げ局面での施工タイミング
値上げ前倒し発注のメリット・デメリットと隠れたリスク
「値上がりする前に発注を」という判断は一見合理的に見えるが、前倒し発注には固有のリスクがある。建物の劣化が修繕の適期に達していない段階で施工すると、塗膜の付着性が十分に発揮されない場合がある。特に外壁の旧塗膜が安定している段階で上塗りすると、旧塗膜の劣化が先行して新塗膜ごと剥離するリスクがある——これは現場で繰り返し見られる失敗パターンだ。
前倒し発注のメリットは以下のとおり。
- 現在の価格水準で資材・施工費を確定できる
- 工期の余裕があるため、業者選定の時間を確保しやすい
- 修繕積立金の支出時期を前倒しにすることで、金利上昇リスクを回避できる
一方、デメリットと隠れたリスクは次のとおり。
- 劣化が進んでいない箇所への施工は、塗り替えサイクルを乱す(次の修繕が早まる)
- 急いで発注すると相見積もりが不十分になり、割高な業者を選ぶリスクが上がる
- 資金を早期に拘束することで、突発的な設備故障等への対応余力が減る
「値上げ前に」という理由だけで動くのではなく、建物の劣化状態を数値で確認してから判断するのが原則だ。
資材不足と値上げが重なるときの業者選びと見積もりの読み方
資材高騰と供給不安が重なる局面では、見積もりの「読み方」が平時と変わる。注意すべき点を整理する。
まず、見積もり有効期限の確認が不可欠だ。通常30日程度の有効期限が設定されているが、資材価格が不安定な時期は「資材価格変動による価格変更の可能性あり」という条件が付くケースがある。この条件が付いた見積もりは、契約後に費用が増える可能性を含んでいる。
次に、塗料の品番・メーカーが明記されているかを確認する。「外壁用シリコン塗料」という記載だけでは、実際にどのグレードの製品が使われるか不明だ。品番まで特定されていれば、メーカーの公開価格と照合することができる。
業者の資材調達力も選定基準になる。塗料メーカーとの取引実績が浅い業者は、値上げ局面で仕入れが後回しにされるリスクがある。アイカ工業指定店や日本ペイントの認定施工店など、メーカーとの協力関係が明確な業者は、資材確保の優先度が高い傾向がある。
今発注と1年後発注で変わる修繕費用の実際の差額
執筆時点での業界動向を踏まえると、年間の塗料コスト上昇率は品目によって5〜10%程度が続いている(公式統計・メーカー公表値で最新情報を確認されたい)。30坪程度の戸建てや中規模マンションの外壁塗装で試算すると、1年の先送りで数万〜十数万円の費用増になり得る。
ただし、この差額だけで判断するのは危険だ。建物の劣化が進行すると、下地補修費が増加する。外壁のクラック(ひび割れ)が放置されれば防水性能が低下し、内部への浸水リスクが高まる。修繕が1年遅れることで塗料費の上昇分を超える下地補修費が発生するケースは、現場では珍しくない。
費用の差額を考えるときは「塗料の値上がり分」だけでなく、「劣化が1年進んだ場合の補修追加費用」を両方に乗せて比較する必要がある。これが、単純な「今か後か」の二択を超えた判断軸になる。

建築資材の品薄と価格高騰は、「いつ落ち着くのか」という問いへの明確な答えが出ないまま長期化している。結論から言えば、2026年時点で全面的な正常化は見込みにくく、石油由来の資材(断熱材・シーリング材・防水シート・塗…
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塗料値上げ下での費用抑制と代替材の活用
機能性塗料への切り替えで長期コストを下げる視点
値上がりが続く中で費用を抑えようとすると、「安い塗料を選ぶ」という方向に向かいがちだ。しかし、耐用年数の短い塗料を選ぶと塗り替えサイクルが短くなり、トータルコストは逆に上がる。
ウレタン系塗料(耐用年数目安8〜10年)からシリコン系(同10〜15年)、フッ素系・無機系(同15〜20年以上)へのグレードアップは、1回あたりの施工費は上がるが、次の塗り替えまでの期間が延びることで、長期の支出総額を抑える効果がある。
| 塗料種別 | 耐用年数目安 | 1回の施工費感 | 長期コスト |
|---|---|---|---|
| ウレタン系 | 8〜10年 | 低め | 塗り替え頻度が高く累計は高い |
| シリコン系 | 10〜15年 | 中程度 | バランス型 |
| フッ素系 | 15〜20年 | 高め | 長期では抑制効果あり |
| 無機系 | 20年以上 | 高め | 超長期では有利 |
※耐用年数は施工条件・環境によって変動する。
値上がり局面だからこそ、「今の施工費を下げる」より「次の修繕を遅らせる」発想が有効になる。
セラミック・遮熱塗料など付加価値塗料の費用対効果
遮熱・断熱塗料は、建物の熱環境を改善することで空調負荷を下げ、光熱費の削減に貢献する。屋上や屋根に遮熱塗料を施工した場合、夏季の室内温度上昇を抑える効果が期待でき、特に工場・倉庫・病院など大空間の建物では光熱費削減のROIが出やすい。
セラミック系の遮熱塗料については、セラミック真空バルーン粒子を用いた製品が断熱・延命効果を持つとされている。塗膜自体の耐久性を高める効果もあり、建物の熱劣化を抑制する観点から注目されている。ただし、製品によって効果の差があり、施工条件(下地の状態・膜厚管理)が適切でなければ期待値を下回る。付加価値塗料を選ぶ際は、施工実績とメーカーの認定を持つ業者に依頼することが前提になる。
遮熱塗料の費用対効果を数値で評価するには、現状の光熱費と断熱改善後の推定削減額を比較し、施工費の回収期間を試算する必要がある。光熱費削減と修繕費の両面でROIを計算 する習慣が、付加価値塗料を正当に評価する唯一の方法だ。
塗装面積の優先順位付けと段階的施工の判断軸
予算に制約がある場合、建物全体を一度に塗装するのではなく、劣化が進んだ箇所・雨漏りリスクの高い箇所から優先して施工する「段階的施工」が選択肢になる。
優先度の高い箇所の判断基準は次のとおり。
- 防水性能の喪失リスク——屋上・バルコニー・庇(ひさし)など水が滞留しやすい箇所
- 構造部材への影響——鉄骨露出・コンクリートの中性化が進んでいる箇所
- 居住者・利用者への直接影響——外壁タイルの浮き・剥落リスクがある箇所
- 劣化の進行速度——南西面など日射・風雨の影響が強い箇所
段階的施工は費用の平準化に有効だが、足場を複数回架設することで足場費用が重複する点に注意が必要だ。足場費用は工事費全体の10〜15%を占めることが多く、2回に分けると1回分の節約を上回るコストが発生するケースもある。段階的施工を選ぶ場合は、足場の共有が可能な工区割りを業者と事前に設計しておくことが、費用抑制の実効的な手段になる。
修繕計画を立てるときの資金シミュレーション
値上げを織り込んだ5年・10年の支出予測の立て方
長期修繕計画に塗料値上げを織り込むには、「現在の見積もり額×年率上昇率×施工予定年数」という単純な計算式ではなく、劣化の進行速度と施工優先度を組み合わせた複合的な試算が必要だ。
具体的な手順として、まず建物の各部位(外壁・屋根・防水・鉄部・シーリング等)の現状劣化度を診断し、各部位の「修繕適期」を推定する。次に、各部位の修繕適期に対して現在の施工費単価を当てはめ、そこに価格上昇率のシナリオを乗せる。
5年計画であれば「現状維持シナリオ(年率3%上昇)」と「高騰継続シナリオ(年率7%上昇)」の2本を並べて提示するのが実務的だ。この2本の差額が「今動くことで回避できる追加コストの最大値」になり、意思決定の材料になる。
10年計画では、塗り替えサイクルが1回以上含まれる部位が出てくるため、塗料グレードの選択(耐用年数の差)が支出総額に大きく影響する。フッ素系を選ぶことで10年以内の塗り替えを回避できる部位があれば、初期費用の差額と値上がり後の施工費を比較することで、グレードアップの合理性が数値で示せる。
複数の値上げシナリオでROI試算する現実的なアプローチ
ROI(投資対効果)の試算は、修繕工事を「コスト」ではなく「投資」として捉えるための枠組みだ。管理組合・オーナーが意思決定するには、「修繕しない場合の損失」と「修繕した場合の便益」を並べる必要がある。
修繕しない場合の損失には以下が含まれる。
- 劣化進行による補修費の増加(下地補修・構造補修)
- 賃料・入居率への影響(外観劣化による空室リスク)
- 売却時の査定額低下
- 法的責任リスク(外壁タイル剥落等による第三者への損害)
修繕した場合の便益には以下が含まれる。
- 建物耐用年数の延長
- 遮熱・断熱施工による光熱費削減
- 外観改善による入居率・賃料水準の維持
- 将来の大規模補修費の抑制
これらを金額に換算してROI試算を作ると、「修繕費をかける合理性」が数値で示せる。値上げシナリオを複数用意することで、「最悪ケースでもROIが成立するか」という感度分析ができ、判断の確度が上がる。
管理組合・オーナーが意思決定するための数値の見せ方
修繕計画の意思決定で失敗するパターンの多くは、「工事の必要性は分かるが、いくらかかるか・いつかかるかが不明確」という情報の曖昧さに起因する。特に管理組合では、複数の区分所有者が合意形成する必要があるため、数値の提示方法が決議の成否を左右する。
++数値で可視化する== ことの核心は、「感覚的な劣化の深刻さ」を「金額と時期」に変換することだ。「外壁が傷んでいる」という説明より、「現状のクラック進行速度では3年以内に防水層への浸水リスクが発生し、その場合の補修費は現在の修繕費の○倍になる」という形で示すほうが、意思決定を促す力がある。
実務的には、以下の3点セットで資料を作ることが有効だ。
- 現状の劣化マップ——部位ごとの劣化度を写真・図面で可視化
- 修繕費の時系列試算——今施工・3年後施工・5年後施工の3ケースを比較
- 修繕積立金の残高推移——各ケースで積立金が不足するタイミングを示す
この3点が揃うと、「なぜ今動くべきか、あるいは待てるか」が数字で議論できる。感情論や先送り論に流れず、経営判断として修繕を扱うための最低限の材料だ。
建物の熱劣化リスクや防水残耐用年数を数値で可視化し、5〜10年の支出シミュレーションを提供している事業者を活用することで、この資料作成の負担を大幅に軽減できる。管理組合や個人オーナーが自力で試算を作ることは難しくないが、劣化診断の精度が前提になるため、専門家による現地確認を経た数値を使うことが信頼性の担保になる。実際の診断・修繕提案の事例

横浜でアパートを所有するオーナーが「5年間でいくら出ていくか」を把握しようとするとき、多くの場合は業者の見積書を受け取ってから初めて数字を知る。それでは判断が後手に回る。修繕支出を事前にシミュレーションしておくこと…
まとめ
塗料の値上げは、原油・ナフサの高騰、国際情勢による供給逼迫、物流費・人件費の上昇という三重の構造に起因しており、2026年時点で価格が大幅に下がる根拠はない。シンナー・溶剤系塗料の高騰幅は特に大きく、品目によって値上がりの時期と幅にばらつきがある点は、修繕計画の優先順位付けに活用できる情報だ。
発注タイミングは「値上がり前に急ぐ」でも「様子を見て待つ」でもなく、建物の劣化状態を数値で確認したうえで判断するのが原則になる。塗料コストの上昇分だけでなく、劣化進行による下地補修費の増加を両方に乗せて比較することで、初めて「今か後か」の判断が合理的になる。
費用抑制の観点では、安い塗料への切り替えではなく、高耐久塗料による塗り替えサイクルの延長と、遮熱・断熱塗料による光熱費削減のROIを組み合わせることが、長期コストを下げる現実的な手段だ。管理組合・オーナーが意思決定するには、劣化マップ・修繕費の時系列試算・積立金残高推移の3点セットを数値で揃えることが、感情論に流れない合意形成の基盤になる。
よくある質問
Q. 塗料の値上げはいつまで続くのですか?
原油・ナフサ価格、物流費、人件費の三重構造が続く限り、大幅な値下がりは見込みにくい。執筆時点では2026年以降も高止まりが続くという見方が業界内で共有されており、「いつか下がるから待つ」という前提で修繕計画を組むことにはリスクがある。ただし市場の変動は予測しきれないため、各メーカーの公式価格改定情報と合わせて定期的に状況を確認することを勧める。
Q. 塗料の値上がりで、大規模修繕の費用はどれくらい増えましたか?
外壁塗装を中心とした修繕工事の相場は、過去数年で10〜15万円程度上昇したという業界内の報告がある(執筆時点・公式統計で最新情報を確認されたい)。ただし建物の規模・劣化度・使用塗料のグレードによって変動幅は大きく、「いくら増えたか」よりも「今の劣化状態で施工するといくらか」を個別に診断してもらうことが実際の判断に使える数字になる。
Q. 高耐久塗料に切り替えると本当に長期コストは下がりますか?
耐用年数が長い塗料ほど1回あたりの施工費は上がるが、塗り替えサイクルが延びることで累計コストを抑える効果がある。特に値上がりが続く局面では、次の塗り替え時の施工費が今より高くなる可能性が高いため、今のうちに高耐久塗料を選ぶ合理性は相対的に高まっている。ただし、下地の状態が悪い建物では高耐久塗料の性能が十分に発揮されないため、下地調整の品質が前提条件になる。
Q. 修繕積立金が不足しそうな場合、どう対応すればよいですか?
まず優先順位を明確にして、防水性能の喪失リスクが高い箇所から段階的に施工する方法がある。足場を複数回架設するとコストが重複するため、工区割りを事前に設計して足場の共有を最大化することが費用抑制の実効的な手段だ。また、修繕費の時系列試算を作成して積立金不足が発生するタイミングを事前に把握することで、借入や一時金徴収の準備を早めに進められる。
Q. 塗料の種類によって値上がり幅は違いますか?
品目によって値上がり幅は明確に異なる。溶剤系塗料・シンナー類は石油系原料の高騰を直撃して大幅に値上がりしており、鉄部塗装に多用するウレタン系や油性エポキシ系は影響が大きい。水性系塗料は相対的に値上がり幅が小さかったが、樹脂原料・顔料のコスト上昇で値上がりは続いている。建物の鉄部が多い構造(鉄骨造・鉄骨階段・手すり等)では、溶剤系塗料の値上がりが修繕費に与える影響が特に大きくなる点を把握しておく必要がある。
本記事はAI支援のもと編集部が作成 ・ 校閲しています 。
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最終更新 : 2026.08.21



