2026年の塗料値上げ、発注タイミングで修繕費が変わる判断基準

2026年の塗料値上げ、発注タイミングで修繕費が変わる判断基準 計画・費用
3つのポイント
1

2025年内発注の判断
2025年内の発注は費用面で有利だが、積立金・劣化状況・工期確保の条件が揃わないと逆効果になる。

2

塗料値上げの規模
シンナー類は50〜75%と異例の上げ幅で、工事費全体では累積10〜20%上昇する可能性が高い。

3

高耐久塗料の選択
値上げ局面では、耐久年数を軸にライフサイクルコストで塗料を選び、品質を犠牲にしないことが重要だ。

  1. はじめに
  2. 2026年に予定される塗料値上げの背景と時期
    1. 主要メーカーの価格改定内容と適用時期
    2. 原材料費と物流コストの上昇が値上げを招く理由
    3. 過去の値上げサイクルから見た今回の規模と影響範囲
  3. 大規模修繕の発注タイミング——値上げ前後で費用が変わる判断
    1. 2025年内発注と2026年以降発注の費用差
    2. 修繕計画の前倒しが現実的か、積立金とのバランス
    3. 工期短縮による追加費用と値上げ回避のトレードオフ
  4. 塗料選択で値上げの影響を最小化する工夫
    1. 標準塗料と高機能塗料の価格差と耐久性の関係
    2. 遮熱・断熱塗料は値上げ後も投資効果が見込めるか
    3. 塗料グレードの見直しで長期修繕費を圧縮する視点
  5. 管理組合・オーナーが今から動くべき準備と判断基準
    1. 修繕積立金の不足が判明した場合の対応時期
    2. 複数年の修繕計画がある場合の優先順位の付け直し
    3. 値上げ前の概算見積もり取得と修繕委員会での承認プロセス
  6. まとめ
  7. よくある質問
    1. Q. 2026年の塗料値上げで、大規模修繕の費用はどれくらい上がりますか?
    2. Q. 積立金が不足していても、値上げ前に大規模修繕を前倒しできますか?
    3. Q. 値上げ局面でも遮熱・断熱塗料を選ぶ意味はありますか?
    4. Q. 見積もりを複数社から取る際、何を比べればいいですか?
    5. Q. 修繕計画の優先順位を付け直すとき、何を基準にすればいいですか?

はじめに

2026年、塗料の値上げは「起きるかもしれない話」ではなく、すでに現実として進行している。日本ペイント・関西ペイント・エスケー化研・アステックペイントといった主要メーカーが相次いで価格改定を実施しており、シンナー類を中心に50〜75%という異例の上げ幅を記録している品目もある。建物の修繕計画を持つオーナーや管理組合にとって、この動きは「塗料が高くなった」という話に留まらず、工事全体の費用水準・発注タイミング・長期修繕計画の見直しに直結する経営判断の問題だ。

結論を先に言う。値上げ前の2025年内に発注できるなら、それが費用面では有利だ。ただし、積立金の状況・建物の劣化進行・工期の確保といった条件が揃わなければ、無理な前倒しがかえってコストを押し上げる。この記事では、値上げの背景と規模を整理したうえで、発注タイミングの判断基準・塗料選択で吸収できる範囲・管理組合やオーナーが今から動くべき準備の順で展開する。

この記事で分かること

  • 2026年の塗料値上げの背景・主要メーカーの動向と影響を受ける工事範囲
  • 値上げ前後の発注タイミングと費用差の現実的な判断軸
  • 塗料グレードの選択で長期修繕費を圧縮する視点
  • 修繕積立金の不足が判明したときの対応と優先順位の付け方
  • 管理組合・オーナーが今から進めるべき概算見積もりと承認プロセス

2026年に予定される塗料値上げの背景と時期

主要メーカーの価格改定内容と適用時期

執筆時点で公表されている各社の動向を整理すると、値上げは「春先のシンナー類から始まり、水性塗料を含む一般塗料へ波及する」という二段階の構造になっている。

メーカー 対象品目 値上げ率 適用時期(目安)
日本ペイント 塗料用シンナー 約75% 3月19日発注分より
日本ペイント 一般塗料 10〜20%程度 順次
関西ペイント シンナー類 50%以上 4月13日より・出荷制限あり
エスケー化研 溶剤製品 20〜30% 4月21日より
エスケー化研 水性製品 15〜25% 5月11日より
アステックペイント シンナー 約70% 5月25日より
アステックペイント 油性・水性塗料 15〜25% 同時期

※上記は執筆時点の公表情報に基づく。各社の公式案内で最新情報を確認されたい。

シンナー類の値上げ率が突出して高いのは、原料となるナフサ(石油精製の中間物質)の価格が直撃しているためだ。水性塗料の値上げ幅が比較的小さいのは、溶剤依存度が低いからだが、樹脂・顔料・添加剤の仕入れコストも上がっているため、水性だから影響を受けないとは言い切れない。

原材料費と物流コストの上昇が値上げを招く理由

塗料の原価構造は、大きく「樹脂(バインダー)」「顔料・体質顔料」「溶剤」「添加剤」に分かれる。このうち樹脂と溶剤は石油由来の成分が多く、原油・ナフサの価格変動を直接受ける。中東情勢による原油価格の高止まりと、円安による輸入コストの上昇が重なった結果、塗料メーカーは原価上昇分を価格転嫁せざるを得ない状況に追い込まれている。

物流コストの上昇も見落とせない。2024年問題(トラックドライバーの時間外労働上限規制)によって国内輸送コストが構造的に上がっており、この分は塗料だけでなく足場材・シーリング材・防水材など修繕工事に関わるほぼすべての資材に影響している。塗料本体だけを値上げ前に調達しても、工事全体の費用は別のコスト要因で動く点を理解しておく必要がある。

過去の値上げサイクルから見た今回の規模と影響範囲

過去の塗料値上げの動きを振り返ると、2021〜2022年にも原油高・半導体不足・コロナ禍の物流混乱を背景に各社が相次いで価格改定を行った。そのときの値上げ幅は一般塗料で5〜15%程度が多く、今回のシンナー類における50〜75%という水準はそれを大幅に上回る。

修繕工事の費用に占める塗料費の割合は、工事規模や仕様によって異なるが、外壁塗装単体で見ると材料費は工事費全体の30〜40%程度が目安とされる(残りは足場・人件費・養生・諸経費)。塗料が20%値上がりしても工事費全体への影響は6〜8%程度に収まる計算になるが、同時に足場費・人件費・副資材も上昇しているため、実際の影響は累積で10〜20%の工事費上昇として現れる可能性が高い。シーリング材(コーキング)や防水材も一斉に値上がりしており、外壁・屋上を含む大規模修繕では影響がより広範囲に及ぶ。

塗料値上げはいつまで続くのか——発注タイミングの判断基準と費用対策について詳しく
塗料値上げはいつまで続くのか——発注タイミングの判断基準と費用対策

塗料の値上げは「いつか落ち着く」と待ち続けた結果、修繕費が想定より大幅に膨らんだ——そういう相談が管理組合やオーナーから増えている。結論から言えば、2026年時点でも塗料価格の下落局面は来ていない。原油・ナフサ由来…


大規模修繕の発注タイミング——値上げ前後で費用が変わる判断

2025年内発注と2026年以降発注の費用差

値上げ前に発注すれば安くなる——これは原則として正しいが、「どのくらい差が出るか」を具体的に把握しないと判断の根拠にならない。

たとえば、外壁・屋上防水を含む中規模マンション(20戸前後)の大規模修繕で仮に2,500万円の工事費が見込まれる場合、材料費が全体の35%を占めるとすると約875万円が材料費だ。塗料・シーリング・防水材が平均15%値上がりすれば、材料費だけで約130万円の増加になる。さらに足場・人件費が5%上昇すれば追加で80万円程度。合計で200万円前後の差が生じる計算になる。

ただし、これはあくまでも試算の枠組みであり、実際の差額は工事仕様・業者の仕入れ契約・発注時期によって変わる。費用差の規模を自社の建物に当てはめて試算することが、タイミング判断の出発点になる。

2025年内に発注・着工できれば、少なくとも値上げ前の塗料単価が一部適用される可能性がある。一方、2026年以降になると、すでに改定後の単価が施工業者の仕入れに反映されているため、見積もり段階から高い水準になる。

修繕計画の前倒しが現実的か、積立金とのバランス

前倒しが「費用面で得」であることと、「今すぐ実行できるか」は別の問いだ。修繕積立金の残高・建物の劣化状態・管理組合の合意形成の進み具合という三つの条件が揃わなければ、前倒しは机上の話に終わる。

積立金残高が計画より不足している場合、一時金徴収か借入(修繕積立金の一時借入・金融機関ローン)を検討することになる。金利負担を考えると、「値上げ後に施工するよりも前倒しして借入する方が総コストが低い」というケースもあれば、逆のケースもある。この判断は金利水準・値上げ幅・建物の劣化リスクを数値で比較しないと導けない。

建物の劣化状態も判断材料になる。外壁のひび割れ・シーリングの劣化・屋上防水の残耐用年数が著しく低下している場合、「値上げが落ち着くまで待つ」という選択肢は建物リスクを高める。劣化が進んだ状態で放置すれば、雨水浸入・鉄筋腐食といった二次損傷が発生し、修繕費が塗料値上げ分を大幅に上回るコスト増につながる可能性がある。

工期短縮による追加費用と値上げ回避のトレードオフ

「早く終わらせれば値上げを避けられる」という発想で、工期を無理に圧縮しようとするケースがある。ただし、外壁塗装には塗料の乾燥時間・養生期間・下地処理の工程があり、これを短縮すると仕上がり品質と耐久性に直結する問題が生じる。

塗装工事で最も手を抜きやすいのが下地調整だ。ケレン(旧塗膜の除去・目荒らし)や下塗りの工程を省略・簡略化すると、数年で剥離や膨れが発生する。工期短縮のために施工品質を落とした結果、10年で塗り替えるべきところを5〜6年で再施工する羽目になれば、値上げ分を節約した意味がない。

値上げを避けるために品質を犠牲にする発注は、長期修繕費の観点で逆効果になる。工期の調整は、天候・職人の手配・足場の段取りといった施工側の条件と照らし合わせて現実的な範囲で行うべきだ。


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塗料選択で値上げの影響を最小化する工夫

標準塗料と高機能塗料の価格差と耐久性の関係

塗料の値上げは全グレードに波及するが、グレードの選択次第で「1回の工事費」と「修繕サイクル」のバランスを変えることができる。

グレード 代表的な塗料 耐用年数の目安 価格帯(材料費・目安)
アクリル系 アクリル塗料 5〜8年
ウレタン系 ウレタン塗料 8〜10年
シリコン系 シリコン塗料 10〜15年 中〜高
フッ素系 フッ素塗料 15〜20年
無機系 無機塗料 20〜25年 最高

※耐用年数は施工環境・下地状態・メンテナンス状況によって変動する。

値上げ局面で「少しでも安く」という発想でグレードを下げると、修繕サイクルが短くなり、次回の施工費も値上がり後の水準で発生する。逆に、フッ素・無機系のような高耐久塗料を選べば、1回の材料費は高くなるが、15〜25年にわたって再塗装の機会を減らせる。値上げ局面ほど、耐久年数を軸にしたライフサイクルコストで塗料を選ぶ判断が意味を持つ。

遮熱・断熱塗料は値上げ後も投資効果が見込めるか

遮熱・断熱塗料は一般塗料より材料費が高く、値上げの影響も受ける。ただし、この種の塗料が持つ付加価値——夏場の屋上・外壁表面温度の低下、室内冷房負荷の軽減、建物躯体の熱劣化抑制——は、塗料価格が上がっても変わらない。

屋上や南面の外壁に遮熱塗料を適用した場合、表面温度が10〜20℃程度低下するとされており(施工条件により異なる)、それに伴う冷房電力の削減効果は長期的に積み上がる。加えて、熱による防水層の劣化進行が抑制されるため、屋上防水の耐用年数が延びる副次効果も期待できる。

セラミック系の断熱・遮熱塗料の中には、セラミック真空バルーン粒子を配合したものがあり、断熱性能と遮熱性能を両立する製品が存在する。こうした高機能品は材料費が高い分、光熱費削減と修繕サイクル延長のROIを計算したうえで採用可否を判断することが合理的だ。「値上がりしているから高機能品は後回し」という判断は、必ずしも正解ではない。

塗料グレードの見直しで長期修繕費を圧縮する視点

大規模修繕の修繕計画は一般に12年サイクルを基準にすることが多いが、塗料の耐久性が向上している現在、このサイクルを固定的に考える必要はない。フッ素系や無機系塗料を採用し、かつ適切な下地処理と施工品質を確保できれば、次回の外壁塗装工事を15〜20年後に延ばせる可能性がある。

修繕サイクルが1回分延びれば、その工事費用分がそのまま将来コストの削減になる。値上がり後の水準で工事を1回省略できるなら、塗料グレードアップに投じる追加費用を大きく上回る節約効果が生まれる。

ただし、グレードを上げる判断は塗料単体では完結しない。下地の状態・既存の劣化度・施工業者の技術力が伴わないと、高耐久塗料の性能を引き出せない。下地調整を丁寧に行える業者かどうかを見極めることが、塗料グレード選択と同等かそれ以上に大切な判断軸になる。


管理組合・オーナーが今から動くべき準備と判断基準

修繕積立金の不足が判明した場合の対応時期

修繕積立金の不足が判明するのは、概算見積もりを取った段階か、長期修繕計画の見直しを行ったタイミングが多い。問題は、不足が判明してから動き始めても、合意形成・資金調達・発注までに相当の時間がかかる点だ。

管理組合の場合、積立金の値上げを決議するには総会承認が必要で、年1回の定期総会を待つと半年以上ロスが生じることもある。臨時総会を開催するにも召集通知の期間(区分所有法では少なくとも1週間前・規約によっては2週間前)が必要だ。

不足への対応として現実的な選択肢を整理すると:

  • 一時金徴収:区分所有者から不足分を一括で集める。金額が大きいと合意形成が難しい。
  • 借入(修繕ローン):管理組合名義で金融機関から借り入れ、積立金で返済する。金利コストが発生する。
  • 工事範囲の絞り込み:優先度の低い工事を次回サイクルに先送りし、今回の工事費を積立金の範囲内に収める。
  • 補助金・助成金の活用:自治体によっては外壁・屋上の改修工事に補助制度がある場合がある(制度の有無・内容は各自治体の公式情報で確認)。

いずれの対応も、「不足が判明してから動く」のではなく、計画の2〜3年前から資金状況を把握して手を打つことで選択肢が広がる。

複数年の修繕計画がある場合の優先順位の付け直し

修繕計画に複数の工事項目が並んでいる場合、値上げ局面では優先順位の再検討が必要になる。判断の軸は「劣化リスクの高さ」と「放置した場合の二次損傷コスト」だ。

防水工事(屋上・バルコニー)は放置した場合の二次損傷が深刻で、雨水浸入→鉄筋腐食→コンクリート爆裂というプロセスが進むと、補修費が塗装費の数倍規模に膨らむ。外壁のシーリング劣化も同様で、ひび割れからの浸水は内部損傷に直結する。これらは「費用が高くなっても優先して施工する」判断が合理的な工事だ。

一方、美観目的の塗り替えや設備の軽微な更新は、劣化リスクが低ければ次回サイクルへの先送りを検討できる。ただし「先送り」は劣化診断の結果に基づく判断であるべきで、「積立金が足りないから」という資金側の理由だけで先送りすると、建物リスクを高める判断になりかねない。

修繕計画の優先順位を付け直す際には、劣化診断(外壁打診調査・屋上防水の残耐用年数確認・赤外線サーモグラフィーによる浮き調査など)の結果を数値で持っておくことが判断の根拠になる。感覚ではなく、劣化の深刻度を数値で可視化したうえで優先順位を決めることが、オーナー・管理組合双方にとって説明責任を果たせる意思決定につながる。

値上げ前の概算見積もり取得と修繕委員会での承認プロセス

「見積もりを取る」という行為自体に時間がかかることを多くの発注者が過小評価している。複数業者への打診・現地調査・見積書の作成・内容の精査・管理組合への報告・修繕委員会での審議・総会承認という一連のプロセスを経ると、最短でも3〜6ヶ月は必要だ。

値上げが進行している今、「来年から動こう」では間に合わない可能性が高い。概算見積もりを取る段階では仕様が確定していなくても構わない。まず「現状の建物で何をどの順番でやるべきか」の全体像と費用感を把握することが先決だ。

修繕委員会の承認プロセスでは、見積もり金額の妥当性を判断するための比較材料が必要になる。複数業者から見積もりを取ることは当然として、見積書の内容——使用塗料の品番・塗布量・工程数・保証内容——を横並びで比較できる状態にしておかないと、金額の安さだけで業者を選ぶ判断になりやすい。

塗装工事の現場では、下地処理の工程数と使用する塗料の品番が施工品質を決定づける。見積書に「外壁塗装一式」とだけ書かれているケースでは、何の塗料を何回塗るのかが不明で、比較のしようがない。発注者側が仕様を明示して見積もりを依頼するか、見積書の内訳を業者に開示させることが、適正な発注につながる。

値上げ前の概算見積もりを取得し、修繕委員会で承認を得るための準備として、今から動くべき手順を整理すると:

  1. 劣化診断(外壁・屋上・シーリング)を実施し、工事の優先順位と緊急度を確認する
  2. 修繕計画書(長期修繕計画)の直近の内容と積立金残高を照合する
  3. 概算見積もりを2〜3社から取得し、仕様・工程・使用塗料を比較する
  4. 修繕委員会で費用・優先順位・発注タイミングの方針を審議する
  5. 総会承認を経て発注先を決定し、契約・着工スケジュールを確定する

このプロセスを今から逆算すると、2025年内着工を目指すなら概算見積もりの依頼はできるだけ早い段階で動き出す必要がある。

建物の劣化状態と修繕費用の関係を「感覚」ではなく数値で把握することが、値上げ局面での判断精度を高める。熱劣化リスクや防水の残耐用年数を数値化し、5〜10年の支出シミュレーションとROI試算を行うアプローチは、管理組合やオーナーが修繕委員会・総会で説明責任を果たすための根拠資料としても機能する。大規模修繕の施工事例と費用の実例を参考に、自社の建物との条件差を確認することも判断材料になる。


まとめ

2026年の塗料値上げは、シンナー類を中心に50〜75%という異例の上げ幅で進行しており、外壁・屋上を含む大規模修繕の工事費全体に10〜20%程度の上昇圧力をかけている。

発注タイミングの判断は「値上げ前が有利」という原則論だけでは完結しない。積立金の残高・建物の劣化状態・合意形成のプロセスという三つの条件を揃えたうえで、現実的な着工時期を逆算する必要がある。

塗料グレードの選択は、1回の工事費だけで判断するのではなく、耐用年数・修繕サイクル・次回工事時の価格水準を踏まえたライフサイクルコストで考えることが、値上げ局面では特に意味を持つ。高耐久塗料で修繕サイクルを延ばすことは、値上がり後の工事を1回省略することに等しい。

管理組合・オーナーが今から動くべき最初のステップは、劣化診断と概算見積もりの取得だ。見積もりを取ること自体に3〜6ヶ月かかる現実を踏まえると、「来年から」では間に合わない可能性が高い。


よくある質問

Q. 2026年の塗料値上げで、大規模修繕の費用はどれくらい上がりますか?

塗料・シーリング材・防水材など関連資材が一斉に値上がりしているため、工事費全体への影響は累積で10〜20%程度になる可能性がある。ただし、工事の規模・仕様・業者の仕入れ状況によって差が出るため、自社の建物に即した概算見積もりを取ることが費用差を把握する唯一の方法だ。

Q. 積立金が不足していても、値上げ前に大規模修繕を前倒しできますか?

不足が小幅であれば一時金徴収や修繕ローンの活用で対応できるケースがある。一方、不足額が大きい場合は、工事範囲の絞り込みや劣化リスクの低い工事の先送りを検討することになる。借入を選択する場合は金利コストと値上げ分の差額を比較して判断することが合理的だ。いずれも管理組合の総会承認が必要なため、早めに動き出すことが選択肢を広げる。

Q. 値上げ局面でも遮熱・断熱塗料を選ぶ意味はありますか?

ある。遮熱・断熱塗料は材料費が高い分、冷房電力の削減と屋上防水の熱劣化抑制という二つの付加価値を持つ。値上がりしても塗料の機能は変わらないため、光熱費削減と修繕サイクル延長のROIを試算したうえで採用を判断することが合理的だ。特に屋上面積が広い建物では投資対効果が出やすい。

Q. 見積もりを複数社から取る際、何を比べればいいですか?

金額だけでなく、使用塗料の品番・塗布量・工程数(下塗り・中塗り・上塗りの回数)・下地処理の内容・保証期間と保証内容を横並びで比較することが必要だ。「外壁塗装一式」という表記だけでは仕様が不明で比較できない。見積書に工程と使用材料の明細が記載されていない業者には、内訳の開示を求めることが適正発注の前提になる。

Q. 修繕計画の優先順位を付け直すとき、何を基準にすればいいですか?

「劣化リスクの深刻度」と「放置した場合の二次損傷コスト」が判断の基準になる。屋上防水・外壁シーリングは放置すると雨水浸入から鉄筋腐食・コンクリート爆裂へと進行し、修繕費が塗装費の数倍規模に膨らむ可能性がある。こうした工事は費用が上がっても優先する判断が合理的だ。一方、美観目的の塗り替えや軽微な設備更新は、劣化診断の結果に基づいて先送りを検討できる。感覚ではなく劣化診断の数値を根拠にすることで、管理組合・総会での説明責任を果たせる。


本記事はAI支援のもと編集部が作成 ・ 校閲しています 。
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最終更新 : 2026.09.13